もうだいぶ前だけど昭和の町としてANA機内誌に取り上げられてた。
自分が幼少だった頃から全く変わらなかった町、それがそのままの姿で観光地に(笑)
修正鬼会とかケベス祭を知ったのもANA機内誌で大分県の焼酎メーカのCM頁だった。
改めて自分の故郷には変わった祭りがあるもんだな、と思った。
当時は写真が趣味だったのでいつか撮影に行きたいな〜位。
修正鬼会の初体験は2010年。
1300年も続く国指定重要無形民俗文化財の行事。
その素晴らしさに気づいたのがつい最近とはお恥ずかしい限り。
現代では国東半島は大分空港がランドマークだが、奈良時代から平安時代にかけては
山岳信仰の修行の場所だったらしい。
六郷満山(ろくごうまんざん)と呼ばれ、宇佐八幡(神道)と仏教文化の融合、
神仏習合発祥の地と言われている。当時は最先端だったのだろう。
子供の頃は富貴寺、熊野磨崖仏、宇佐八幡等への遠足やらなんだで仏の里という
キャッチコピーを普通に体感はしていた。
しかし、修正鬼会の記憶は一切無し。
写真が地元銘菓の箱に使われていたり、卒業アルバムに挿入されていたりするのだが
気に留めたこともほとんど無かった。
住んでいたエリアや学校の校区が違ったことが最大の原因か?
メインイベントが22時以降と遅い時間帯であること、祭りというよりは地元の信仰行事
という雰囲気がそうさせていたのかもしれない。
今でも露天、出店は一切無い。派手な演出や広告的な物も一切無し。
唯一、鬼会の里(おにえのさと)という長岩屋伝統文化伝習施設と売店が1件があるだけ。
鬼会の里は年中、食堂、資料室、展示室として営業。地元のそばとか食べれます。
さて修正鬼会の詳細や画像は以下を参照してください。
http://www.yado.co.jp/kankou/ooita/kunisaki/kawanaka/kawanaka2.htm
天念寺の向かいには川があり、巨岩に彫られた川中不動が祭られています。
当日の夜7時過ぎ、この川で身を清める儀式が行われます。
九州とは言え結構寒い、今年はかなり寒かったことでしょうね。
その後、大松明三挺への点火が行われます。
点火された大松明は一つずつ順番に川中不動前の橋を渡り、天念寺お堂前に運ばれ
三々九度の献灯儀式が行われる、この時点でも結構迫力あると思います。
次に大松明同士を激しくぶつけ合う火合わせが始まります。
お堂が燃えてしまうのではと錯覚する位の凄い迫力です。
でも、これプロローグなのです。
ちなみにこの時、子供たちが笛や太鼓を演奏しているのでお見逃し無く。
またお堂の中では常連客やカメラマン達による場所取りも加熱してるはずです。
この後はお堂の中で夜の読経が始まります。
その流れで香水棒(こうすいぼう)を使った儀式に移ります。
棒を床で叩いてリズムを取ったり、振り回して踊ったりします。
何度も舞ううちにフラフラになる様子を見て笑ったりして盛り上がり始めます。
そのうち一般参加者が参加し始め会場全体が和み、一体感が出てきます。
実はこの時間帯には鬼の衣装替えが並行して進んでます。
鬼を迎える前に僧侶が面を付けて舞を行います。
同時に鬼の世話役達がメインイベントの準備を始めます。
鬼の通り道や鬼が舞うスペースを確保する為です。
松明で指示されるので即対応しないと火の粉を浴びることになりますよ。
言い方も方言の為、かなり怖い感じではあります。
そして赤鬼の入場。この時点では鬼はまだおとなしい状態。
僧侶から水を吹きかけられ鬼は徐々に、そして完全に覚醒します。
ここからがメインイベント。
鬼と鬼の世話役衆が堂内中央を包囲する並びで
"ホウレンショウヨ♪ ソラオンニワエ♪"
との掛け声とリズムで松明を振り回します。
松明を柱に叩きつける、床をこする、後ろに振りぬく。
火の粉が飛び散り、悲鳴が響きます。
世話役衆はこれとは別に鎮火した松明を炎燃盛る松明に交換したり、前方で立ち上がって
見ている観客を松明を振りかざして座らせたりと場内をコントロール。
時折喧嘩沙汰もありますが、逆らうなら出て行けと一蹴(笑)
神(鬼)に仕える身はここでは絶対権力なのです。
"ホウレンショウヨ♪ ソラオンニワエ♪"
半周して再度、掛け声と共に松明を振り回す。
堂内は煙が充満して目をあけるのも息をするのも苦しい位です。
かなりな興奮状態。ここでさらに黒鬼登場!
赤鬼同様、儀式で完全覚醒、また堂内をグルグル回る。
"ホウレンショウヨ♪ ソラオンニワエ♪"
悲鳴、逃げ惑う観客、火の粉で髪の焼ける匂い、松明で小突かれるカメラマン、
場内は興奮の坩堝。
そして、一旦ここで赤鬼、黒鬼が場内中央部でポーズを取り、撮影タイム。
ある意味、休憩タイム。
僧侶も何度も何度もシャッターチャンスを提供してくれるので笑いが出ます。
しかし前方で立ち上がったままで見ようものなら世話役衆から容赦なく松明で小突かれる。
これも笑いを誘う瞬間。
そして餅の奪い合い儀式。
鬼の目という2つの直径20cm前後の餅を奪い合う儀式。
基本的には餅をちぎって皆でシェアしましょうというルールのようですが結果的には
ラグビー状態、はたから見てると乱闘シーンです。
その気のない方は中央から一旦非難しましょう。
それが終わると今度は中央部に加持祈祷の為に集まります。
この時は帽子を取るように指示されます。
素直に聞かないと松明で...もう皆さん調教済です(笑)
鬼からお尻(背中)を松明で叩いて貰います。悪い物を落として頂きましょう。
全員が受けれるよう何度もやってくれますので、慌てて行かなくても大丈夫。
そして鬼は世話役におんぶされてあちらの世界へ帰っていきます。
でも、これで終わりではありません。
最後は餅まきがあります。
ただでさえ興奮状態のお客様達です。
負けないで頑張って御餅を拾ってください。
私のコメント通りで参加すると19時~23時といった所でしょうか?
まじめに最初から最後まで見ていても飽きませんよ。
途中、お堂から抜け出して甘酒やぜんざいを頂くこともできます。
鬼会の里には食事する場所やトイレもあります。
鬼会は地元の方々と僧侶達で行われています。
昔は旧正月の宗教行事と余興が混じったイベントだったのでしょうか?
お経やお説教でなく全体を通して自然と教えを受けているような気分になり、
心持ちがなんだか暖かくなるお祭りなんです。
そして、この行事を1300年にわたり受け継いでくださった地元住民の方々に感謝する
気持ちで一杯になります。
自分が生まれた縁、故郷を思う機会を与えて頂きました。
このような拙い長文を最後まで読んで頂き有難うございました。
皆様にも是非一度体験、体感頂ければと思います。